トゥーレーヌ オワリー レリプス
TOURAINE OISLY L’ELLIPSE
参考小売価格:3999円
産地:トゥーレーヌ
品種: ソーヴィニヨン・ブラン
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノ・ヴィーノ
今月は、リカオーの特売をきっかけに、ロワール地方のワインを集中的にテイスティングしながら、コンクール対策として感覚の精度を高める取り組みを続けています。
テーマは、ソーヴィニヨン・ブランの価格帯による表現の違い。
ラインナップは以下の通り:
- 無印ロワール(2,000円)
- トゥーレーヌ(3,000円)
- トゥーレーヌ(4,000円)←今回の主役
この4,000円クラスのボトルは、前回と同じ生産者による上位レンジ。
トゥーレーヌというAOCは、ロワールの中でも比較的広域にあたりますが、それでも“無印ロワール”に比べれば格段にテロワールの個性が求められるクラスです。
ブルゴーニュで喩えるならばマコン的ポジション。ただし、価格的にはマコン以上のプレミアム感があるため、自然と期待値も上がってしまいます。
今回は15オンスの大ぶりなグラスを選び、温度は9度からスタート。
ソーヴィニヨン・ブランにしては重厚なアプローチです。
まず外観。
前回の3,000円クラスよりも色調はやや淡め。しかし、僅かにグリーンを帯びたトーンは、この品種らしい若々しさと清涼感を思わせます。
グラスを回すと粘性が非常に強く、脚がゆっくりと流れ落ちるのが印象的。
このワイン、なんとアルコール度数14%。ソーヴィニヨン・ブランとしては異例の数値です。これは正直、初体験でした。
香りは一言で表現しがたい複雑さを含んでいます。
清涼感を伴った水飴のような甘い香りが第一印象ですが、その奥にうっすらとエレガントなニュアンスが漂います。
ただし、アルコールのボリューム感がやや突出しており、「揮発性アルコール」という言葉が頭をよぎったのも事実。人によっては、この強さが気になるかもしれません。
味わいは、とにかく濃密でネットリ。
例えるなら――かなり乱暴ですが――炭酸の抜けたストゼログレープフルーツ。
しかし、これはあくまで第一印象の話。
飲み進めるほどに、ワインの奥に潜む微細なニュアンスや骨格の強さに気づきはじめ、グラスを置くタイミングを見失うほどの魅力を帯びてきます。
率直に言えば、3,000円クラスの方が私の好みではあります。
ただ、4,000円のこのワインには、「なぜこの価格なのか?」という**“味の理由”を探す面白さ**があります。
つまり、味の善し悪しにとどまらず、思考するテイスティングの面白さがあるのです。
こういうワインこそ、飲み手の経験値やその日のコンディションによって評価が大きく変わるもの。
“ただ美味しい”を求める日には選ばないかもしれませんが、ワインと向き合いたい夜には、むしろこちらがふさわしいのかもしれません。
本日の組み合わせ
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Cランク (24年3月より基準改定)
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