サンセール グラン シュマラン
SANCERRE GRAND CHEMARIN
参考小売価格:4999円
産地:サンセール
品種: ソーヴィニヨン・ブラン
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノ・ヴィーノ
前回に続いて、ロワール地方のソーヴィニヨン・ブランを真面目に飲み比べ。今回はいよいよ“教科書の顔”ともいえる銘醸地、サンセールとプイィ・フュメの比較という贅沢な学びの時間です。
ワインを本気で勉強しようと思って「教科書に載ってる産地」を片っ端から買っていくと、気づけば財布が風通しのいい状態に…。改めて、知識を実体験に変えるには覚悟が必要なんだと痛感させられます。
さて、今回はサンセール。
プイィ・フュメとサンセールは、実はロワール川を挟んで向かい合う位置関係。まるで“川向こうのライバル”。どちらもソーヴィニヨン・ブランの名産地ですが、サンセールは白だけでなく赤とロゼも生産しているため、「3色=3SELL(サンセール)」と覚えるのがワイン初学者にはありがたいポイントです(対するプイィ・フュメは白ワインオンリー)。
肝心の味わいはどうか。
プイィ・フュメと並べて試飲してみると、サンセールのほうがやや掴みどころのない印象。もちろん、分かりにくい=劣っている、という意味ではなく、より多層的で奥行きがあるという意味です。
価格的にはプイィ・フュメよりも定価で1,000円ほど高い一本。その分、味わいには濃密さと、気品を帯びたほんのりとした甘やかさがあり、特に白桃のようなニュアンスが印象的でした。香りに集中すればするほど、果実の陰に隠れて、白い花のようなフローラルさや、熟成由来のニュアンスが立ち上ってきます。
興味深かったのは、教科書などでは「サンセールとプイィ・フュメは似ている」と書かれていること。しかし、今回の飲み比べを経て感じたのは、両者はまったくの別物ということ。グラスの中に広がる世界は、まるで別の産地を旅しているかのような違いがありました。
「ソーヴィニヨン・ブランなんて、どれも似たようなもんでしょ?」
そんな言葉は、たぶん2,000円以下のワインだけを飲んでの印象でしょう。村名クラス以上になると、たとえ同じロワール地方でも、香りも味わいも、まるで別人のように個性が際立ってくる。
──これがワインの奥深さであり、恐ろしさでもある。
今後もこの“贅沢な教材”にお金を注ぎ込む日々が続くかと思うと、若干ゾッとしますが、それでも一口飲むたびに世界が広がるこの感覚、やめられそうにありません。
本日の組み合わせ
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Cランク (24年3月より基準改定)
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