ア・ド・シャトー・ダルシュ
A Chateau d’Arche Blanc Bordeaux Dry
参考小売価格:3960円
産地:ボルドー
品種: セミヨン 85%、ソーヴィニョン・ブラン 15%
購入元:ウメムラ(楽天)
インポーター:フォーシスアンドカンパーニー
ウメムラのワイン福袋に入っていた、高級ボルドーの白ワイン。「ボルドーといえば赤」のイメージが強いかもしれませんが、実は私は断然、白派。
というのも、低価格帯のボルドーでは、白はスッキリしていてフルーティーならだいたい受け入れられるのに対し、赤はどうしても「毒々しさ」が気になってしまうことが多いのです。
そんなわけで今回の一本、「ア・ド・シャトー・ダルシュ」は、白派の私にとって期待値が高まる存在。実勢価格は約4,000円。
同価格帯の赤ボルドーとなれば、うまく当たれば翌朝まで余韻が残るような名品に出会えるレベル。ハードルは自然と上がります。
ちょうど先日、ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン──プイィ・フュメとサンセールの飲み比べを行っていたこともあり、このワインをそのまま同席させて比較してみることにしました。
■香りと味わいのベクトルがまるで違う
まず色調。ロワールの2本と比べると、明らかに黄みが強く、見るからにリッチな印象。
グラスを傾けると、広がるのは気品ある甘やかさ。ロワールの爽やかなハーブ感とは方向性がまるで異なり、こちらはまるで「大人のネクター」。桃のシロップ漬けを思わせるような官能的な香りが、上品に立ち上ってきます。
口当たりは極めて優しく、それでいてふくよかな厚みがあり、香りと味わいが見事にリンクしている印象。
余韻にかけて感じるネクター感は、単なる果実味ではなく、緊張感と気品を兼ね備えた甘さ。凄まじくうまい。
料理と合わせるのがワインの醍醐味…とは言いつつ、これはむしろ一人でじっくり味わいたいタイプ。食前に、塩味のきいたナッツをひと粒ずつつまみながら、静かに集中して向き合いたくなる一本です。
■シャトー・ダルシュという名門の挑戦
このワインを造っているのは、あのソーテルヌ2級格付けシャトー・ダルシュ。
1580年創業という歴史ある生産者で、かのイケムの畑と道一本隔てただけの絶好の立地。かつてはシャトー・ラフォリ・ペイラゲやラ・ラギューヌのオーナーも所有し、「ダルシュ=ラフォリ=ペイラゲ」として知られていた時代もありました。
そんな貴腐ワインの名門が手がける辛口白「ア・ド・シャトー・ダルシュ」は、**セミヨン85%、ソーヴィニヨン・ブラン15%**というブレンド。
発酵・熟成の半分はステンレスタンク、もう半分は木樽。しかもその30%がソーテルヌ用に使用されていた樽というのだから驚きです。
貴腐化寸前のブドウを使用しているためか、香りにはソーテルヌを思わせるトロピカルかつ華やかな要素が感じられます。
アカシアの花、グレープフルーツ、レモンピール、そして淡くトーストされた木のニュアンス。緊張感あるアタックとクリーミーな質感のバランスも絶妙です。
■まとめ:白ワインの“ボルドーらしさ”を再発見する
赤ワインの名産地として知られるボルドーですが、白にも明確な個性と魅力があることを再確認しました。
特に今回のように、名門が手がける本気の白となると、その実力はロワールの銘醸地に引けを取らないどころか、全く別軸での“豊かさ”を見せてくれるのだと実感します。
プイィ・フュメやサンセールの清涼感に惹かれる人が、ふと立ち止まって向き合いたくなるような、密やかで深い世界観──それが「ア・ド・シャトー・ダルシュ」というワインでした。
本日の組み合わせ
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定)
|