※ 庶民のワイン研究所は、アフィリエイト広告およびブログ広告による収益を得て運営しています。リンクからの購入により売上の一部が本サイトに還元されることがあります。

アルゼンチン

【マルベック第3章】渋い、酸っぱい、でもクセになる──ラマネグラ・エステートの実力

ラマネグラ エステート マルベック 2020

Ramanegra Estate Malbec

参考小売価格:1599円

産地:アルゼンチン

品種: マルベック

購入元:リカオー店頭

インポーター:ルミノヴィーノ

アルゼンチンといえばマルベック、というのは今やワインラバーの常識。
とはいえ、その中でも「ラマネグラ・エステート マルベック」は、ひと味違う個性を感じさせる一本でした。

価格帯としては千円台後半。いわゆる“デイリーワイン”に分類されるかもしれませんが、侮ることなかれ。
実際にグラスに注ぎ、鼻を近づけた瞬間──いや、むしろグラスの奥まで鼻を突っ込むことでようやく立ち上ってくる、コーヒー、ロースト、バニラのような熟成香にまず驚かされます。
プラム系の果実香もありますが、ありがちなキャピキャピ感は皆無。むしろ落ち着き払った大人の色気。

味わいは、刺すような酸とキリリと収斂するタンニンが主役。
アルゼンチン=甘くてジューシー、という先入観を裏切る、フランス的なストイックさすら感じる構成です。

これ、ブラインドで出されたら3000円台のボルドーだと勘違いするかもしれません。
それぐらいバランスが取れていて、飲みごたえがある
渋くて酸っぱいワインが苦手な人には少し“トラウマもの”かもしれませんが、逆にそういったニュアンスを求める人にはグッと刺さる一本です。
特にチーズと合わせたときの化け方は見事。塩気とタンニンが溶け合い、奥行きが一気に広がります。


「ラマネグラ」というブランドの背景

このワインを手がけるのは、ダートリー・ファミリー・ワイン社
2007年、夫妻がアルゼンチン・メンドーサの地に魅了され、4つの畑を購入。
1937年から続く歴史あるカサレナワイナリーを受け継ぎ、再建を果たしました。

ラマネグラは、その中でも**ワンランク上の「エステートシリーズ」**として位置づけられています。

畑はすべて標高925~960mの高地に位置し、
アンデス山脈からの水源、強い日差し、乾燥した気候といった条件が、
果皮の厚い、濃密で健康的なブドウを育てるテロワールを生み出しています。
カビや病害が少ないことから、実質的にはオーガニック栽培
現在、2027年の完全オーガニック移行を目指しているという姿勢も好感が持てます。

使用されているのは、**自社所有の4つの畑(オーウェン、ローレン、ファミューラ、ナオキ)**のブドウ。
そのうちファミューラ畑はすでに「オーガニック移行期」認証を取得済みです。

さらにワインの醸造には、手摘み・手剪定の徹底、最新鋭の設備、6ヶ月のフレンチオーク熟成と、
“量産型”とは一線を画す本気度が詰まっています。


黒いラベルのシルエットが語るもの

ボトルには、葉を落としたぶどう樹の黒いシルエットが描かれています。
これは、「冬を越える強靭な生命力」を象徴するモチーフだそう。
そのイメージどおり、ワイン自体も華やかさよりも、芯のある渋みと時間が育んだ深みが印象に残ります。


総評

1,000円台で買えるアルゼンチン・マルベックの中では、明らかに異色
万人ウケよりも、「ワインを噛みしめたい人」向けの一本です。

・濃くて甘いワインに飽きてきた方
・ボルドー好きだけど予算は2,000円まで、という方
・チーズと合わせて“化学反応”を楽しみたい方

そんな方に、ぜひ一度試してほしいマルベックです。

本日の組み合わせ

庶民のお酒ランク(詳細

今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com