ヴァルド・ロワール・ドメーヌ・デ・ロシェル マルベック
LES ROCHELLES MALBEC
参考小売価格:2999円
産地:ロワール地方
品種: マルベック
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノヴィーノ
前回に引き続き、マルベックの飲み比べ。
全7種類のうち、今回はフランスのロワール地方、そしてボルドー地方のマルベックを取り上げます。
まずはロワール地方から。意外とこの地域でもマルベック(=コット)は見かけます。特にトゥーレーヌやサミュール周辺では、自然派ワインの生産者が少量ながら栽培しており、単一品種で仕上げるケースもあります。
そもそもマルベックは南西部カオールが発祥で、かつてはボルドーでも広く使われていましたが、1956年の大寒波や病害の影響で栽培面積が激減。今では補助品種の立場に留まっています。そんな中でロワールに残ったマルベックは、濃厚さよりも軽やかさや酸を活かす方向に進化してきた印象です。
今回のボトルはネットで詳しい情報が出てきませんでしたが、同じ生産者のシュナン・ブランやソーヴィニヨン・ブランが自然派スタイルだったことを考えると、このマルベックもその流れにあると考えてよさそうです。
外観はやや薄濁り。香りはぶどうをそのまま潰したような素朴な印象。糖度は低めで酸味が強く、まるで熟していないぶどうをかじったような感覚です。ただ、全体の構成はジュースのように軽く、スルスル飲めるタイプ。一般的にイメージするマルベック──南西部やアルゼンチンの濃厚で骨太なスタイル──とは正反対で、「これがマルベック?」と思わせる一本でした。
こんな変化球に出会うと、マルベックのバロメーターが少し迷子になりそうですが、この振れ幅を知っておくことこそ、品種理解を深める一歩。ワインエキスパートコンクールを目指すなら、むしろ避けては通れない経験です。