クラウス・カイザー ミュラー・トゥルガウ ナーエ
KLAUS KAISER MULLER THURGAU NAHE
参考小売価格:1320円
産地:ナーエ
品種: ミュラー・トゥルガウ
購入元:カルディ
インポーター:オーバーシーズ
リースリングの陰に隠れがちなドイツ白ワインの品種、ミュラートゥルガウ。
日本の売り場でその名を目にする機会は多くないが、今回はあえてその存在に光を当てたい。
比較対象としたのは、カルディの千円台ワインと、ヘレンベルガーホーフが輸入する三千円超のボトル。価格差三倍の一騎打ちだ。
カルディのミュラートゥルガウ:素直で明快な果実味
グラスを傾けると、黄緑がかった淡い色調。
香りはフルーティーで、マスカットや柑橘の清涼感が主旋律を奏でる。
一口含むと、意外にも苦味がアクセントとなり、単なる“飲みやすい系”で終わらせない奥行きを見せる。
マスカットの甘やかさに柑橘の酸、そして種由来の心地よい苦味。
千円台前半としては驚くほど完成度が高く、日常のグラスに気軽に寄り添う優秀な白だ。
「安ワインだから」と軽視できない、ドイツらしい真面目さがある。
三千円超との比較:立体感の差が生む余韻
ただ、ヘレンベルガーホーフの上位ボトルを開けた瞬間、その差は歴然とする。
香りの層が深く、花、果実、ミネラルが次々と立ち上がり、口中での展開にもグラデーションがある。
カルディの一本が“平面の絵画”なら、こちらは“彫刻”のような立体感を備える。
とはいえ、値段が三倍だから味わいも三倍に感じるかといえば、決してそうではない。
牛丼屋のうなぎと炭火で焼いた本格うなぎの違いに似ている。
求めるシーンが違うだけで、どちらも存在意義がある。
結語:日常に寄り添うミュラートゥルガウ
ミュラートゥルガウは、華やかではないが、日常にふっと溶け込む包容力がある。
カルディで手軽に買える希少なドイツ品種としては、むしろ二千円台でも納得のクオリティ。
価格を超えた「誠実な味わい」と「知る人ぞ知る喜び」を、静かに感じさせてくれる。
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