穂坂マスカット・ベーリーA コールド・マセレーション
Ch. Mars Hosaka Muscat Bailey A Cold Maceration
参考小売価格:1800円
産地:穂坂地区
品種: マスカットベーリーA
購入元:サニーマート(ローカルスーパー)
製造:シャトーマルス
キャベツが安かったので迷わず購入したところ、冷蔵庫の奥にもうひと玉眠っていた。こうなると大量消費は使命に近い。今日はお好み焼きでいくしかない。
お好み焼きは、不思議と赤ワインの許容範囲を広げてくれる料理だと常々感じている。単体で飲むと少し肩身の狭い安価な赤ワインでも、ソースの甘辛さと絡めば見違える。小麦粉を控えめにしてキャベツ多めにすると軽く仕上がり、多少の手元の乱れもソースとマヨネーズが包み込んでくれる。家庭料理のなかでは相当頼れる一皿。
今回は、穂坂マスカットベーリーAを合わせた。定価1800円台で、日本ワインとしては手に取りやすい価格帯。香りはマスカットベーリーAらしい綿菓子やキャンディーの甘いニュアンスが広がり、ふっと肩の力が抜ける。口に含むと甘さが先に立つけれど、酸味やタンニンがきちんと仕事をしていて、味が平面的にならない。素朴さと軽さのなかに、小さな調和がある。
この甘さが、お好み焼きソースとよく馴染む。甘辛いソースの奥にある旨味と、ワインのやさしい果実味がきれいに溶け合う瞬間がある。高価なワインでなくても、相性の良い料理と組み合わせればしっかり映える。
思えば、ワインを飲みはじめた頃のマスカットベーリーAは、どう扱えばいいのか分からず、甘ったるいだけの難敵に見えていた。それが今では、たまに無性に飲みたくなる。品種の個性を楽しめるようになったのか、自分の味覚のレンジが広がったのか。距離の取り方が変わると、同じワインの景色も変わる。
今日はキャベツ消費が目的だったはずなのに、久々にこの品種の良さを思い出す夜になった。






