アシエンダ エル エスピノ / ホーヴェン ガルナッチャ ブランコ
HACIENDA EL ESPINO JOVEN Vino Blanco
参考小売価格:1100円
産地:スペイン
品種: ガルナッチャブラン
購入元:ローカルスーパー
インポーター:マルカイコーポレーション
近所のスーパーの片隅。誰もが素通りするような見切り品ワゴンから、私の目に留まった一本の白ワイン。値段を確認せずに手に取りましたが、後からラベルを見て驚きました。定価一二〇〇円が、まさかの半額。実質、無料といっても過言ではないコスパワインです。
とはいえ、単なるお買い得で終わらないのがこのワイン。私がひそかに愛してやまない品種、ガルナッチャ・ブラン(Garnacha Blanca)。その豊満なボリューム感と、フードフレンドリーな包容力に魅了され、月に一本は必ずと言っていいほど手に取っています。
今回の目的は、このガルナッチャ・ブランが中華料理とのペアリングに耐えうるかという検証。油分、スパイス、甘味・塩味のバランスが複雑な中華と、ワインが調和できるかどうか。正直、半信半疑でした。
一口飲んで、まず香りに惹かれます。白い花を想わせる優美なアロマ。味わいはりんごやはちみつのニュアンスが感じられつつも、私好みのしっかりとした苦味と極辛口の引き締まりがあり、ボディも申し分なし。千円台前半のワインとは思えない重厚感があります。ブラインドで飲んでもらった知人のワイン愛好家は「二千円台中盤でも納得」との評価でした。
ペアリングの実験では、お刺身から中華の揚げ物まで試しましたが、どれも秀逸。味の主張が強い料理と合わせても決して出しゃばらず、むしろ料理の旨みを引き立てる名脇役ぶり。控えめでありながら確かな実力を持つこのガルナッチャ・ブランは、まさに食卓の名助演者といえるでしょう。
名前に込められた物語と背景
ちなみにこのワイン、「ホーヴェン(Joven)」という名が付いていますが、これはスペイン語で「若い」を意味し、樽熟成をしていない、あるいは12か月未満の熟成にとどめたフレッシュなワインを指します。
このホーヴェンは、黒ブドウのガルナッチャ・ティントを擬人化し、「若く、幸せな女性」のイメージで造られたシリーズの一環。ワイナリーはスペイン南東部、標高が高く、昼夜の寒暖差に恵まれたアルマンサという地域に1998年に設立されました。オーガニック農法で育てられたブドウを使用し、よく熟した果実味とキリッとした酸のバランスが取れたスタイルが特徴です。
「フェンネルを思わせる白い花の香り」とワイナリーは表現していますが、それも納得。香りの立ち方が美しく、食卓をぱっと華やかに彩ってくれる一本です。ちなみに、某国際ワインコンクールでも金賞を受賞している実力派。
ワインに限らず、見切り品コーナーには思わぬ出会いが眠っています。たまたま手に取った一本が、ふとした夜の食卓に物語を添えてくれる──そんな体験を、またひとつ重ねることができました。
本日の組み合わせ
中華料理と合わせる
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定)
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