お寿司とワインの組み合わせはメディアでも散々紹介されているので、意外な組み合わせとは言わなくなってきました。
しかし、イメージとしては、「職人のお寿司屋さん×高級ワイン」の印象が強く、実際に紹介されているベアリング(ワインとネタの組み合わせ)も、庶民には体験できないような組み合わせばかりです。
残念ながら、大衆向けのお寿司屋さんだと、ワインの取り扱いがなかったり、取り扱っていても、コスト重視の量販ワインしかおいていないでしょう。
そこで、庶民のワイン研究所としては、この問題を解決すべく、庶民が「美味しく、優雅に楽しめる」ワインとお寿司のベアリングを考えてみました。
お寿司屋さんは、店舗数1位で全国的に展開しているスシローさんのメニューを参考にしています。そして、ワインのラインナップは過去一ヶ月で私が実際に購入して飲んだワインに絞っています。もちろん、お店にワインを持ち込むことができないため、テイクアウト前提での話ですが、試してみる価値は大いにありますよ。
白とり貝/あわび/つぶ貝/いか
Premium Tamaioasa Romaneasca
お寿司だけで味わうと生臭さをさほど感じないネタですが、下手な組み合わせをしてしまうと、口の中で戦争が起こります。ここで重要なのが「ミネラル感」。しっかりしたミネラルを感じれるワインは高価なタイプが多いですが、ここでは新世界のニューフェイス、ルーマニアワインをお勧めします。ボディの厚さが絶妙で、お互いの個性を崩すことなくいただけますよ。
コハダ/数の子/タイ
グランポレール・スタンダードシリーズ 甲州 ドライ
コハダや数の子をワインと合わせてしまうと、後味で生臭さが気になり、どうしても守備範囲が狭くなってしまうから難しいところ。安易に「白や辛口スパークリングならイケるでしょ」、なんて考えると、ワインとネタの両方の良さを殺しかねないので注意が必要です。そんなネタには日本食のために造られたといっても過言ではない「甲州ワイン」をお勧めします。辛口だけど薄口で刺身との相性も抜群。下手な日本酒なんかよりも、ずっと日本のお酒っぽい雰囲気がここに存在してます。
えんがわ/えび
フレシネ コルドン・ネグロ
このタイプもコハダチームと同様に、合わせるのが難しいネタです。しかし、えんがわの少し効いた脂っぽさや、エビのカジュアル感は、強炭酸で洗い流せば、次のネタにスムーズに移行できます。
中とろ/大トロ/とろサーモン
カン・プティ・カヴァ・ロサード
口に残る脂っこさを生姜で浄化するのも一つの手ですが、辛口のロゼスパークリングがマリアージュを成立させてくれます。色味も調和しており、文句の付け所がない組み合わせです。
牛カルビ、サーモンチーズ、エビチーズ
ロシュ・マゼ ピノノワール
一昔前までは、考えられなかったチーズとお寿司の組み合わせや、牛肉のお寿司。このメニューの人気度が、まるでワインとお寿司の相性を証明しているようです。このネタにはライト~ミディアムタイプの赤がぴったりですが、ピノ・ノワールの上品さと欧州テイストが見事に調和しますよ。
オニオンサーモン/生ハム
ボデガ・イニエスタ・フィンカ・エル・カリール・バレリア
さっぱりとマヨネーズで、ネタとシャリの一体感をもったお寿司には、準濃厚な白ワインの一択です。樽熟成シャルドネなんかも合わせるとベストマッチですよ。
エビフライアボガドロール/エビアボガド
カルサーダ・クイネア クイネア・クリアンサ
このネタなんかも、ワインのために考えられたメニューですね。守備範囲がとても広いのでどんなワインでも戦えますが、今回は少しスパイシーなワインをチョイスしました。
まぐろ/カツオ/はまち
赤の刺身には赤ワイン。そういった通説が流行の兆しを見せているようですが、私の試した範囲内ではベストな赤ワインは現状で見つけられません。
赤身の引き締まった食感とさっぱりした口当たりには、フルーティな白ワインがベストではないでしょうか。また、若干脂身のあるハマチにもぴったりなワインです。
うなぎ/あなご/若鶏グリルステーキ
イゲルエラ ティント
濃厚なタレ系のネタには、同じく濃厚なワインをぶつけるのが良いです。後半まで来て言うのもなんですが、大抵のネタは甲州で抑え込むことが可能です。しかし、ネタの個性が強すぎるが故に、薄口ワインと合わせてしまうと、ワインが水のように感じてしまいます。このワインは、安価にも関わらず、奥域があり、余韻も長く楽しめるタイプなので、お互いの個性をおろそかにすることなく、最高のマリアージュを成立させてれますよ。
コーン/ツナサラダ/シーサラダ
スリー・ピラーズザ・グルメカベルネ・ソーヴィニヨン
ここで注目してもらいたいのは、海苔と赤ワインの相性です。某ワインコミックの巻末コラムでしったのですが、素晴らしい相性をかましだしました。今回はマヨ系も混ざっているので、甘めのカベルネ・ソーヴィニヨンをチョイス。欠点としては、この組み合わせの後、食べるネタの味わいが感じなくなってしまうので、試すなら、後半の締めに持ってきたいです。
以上、スシローとワインの組み合わせ10選です。ご閲覧ありがとうございました。