モンドヴィーノ~衝撃のノンフィクションドキュメンタリー映画~。
簡単に説明すると、ワインに「テロワール(地味)」を求めるか、「誰もが美味しいと感じるワイン」を求めるかを問うてきます。
しかし、監督のメッセージ的には、
「誰もが美味しいと感じるワイン」は悪だと感じるように仕向けられています。
実際は事実を淡々と撮影しているだけですが、カメラワークや表情の捉え方、絶妙なシーンの切り替えで、
- ワインコンサルタントの「ミシェル・ローラン」。
- ワイン評論家「ロバート・パーカー」
- カリフォルニアワインの父「ロバート・モンダヴィ」
- ロスチャイルドの格付け一級「シャトー・ムートン」
が見事なまでにヒール役に見えます。
反対に
- ブルゴーニュ自然派ワイン造りの「ドメーヌ・ド・モンティーユ」
- モンダヴィのフランス進出を阻止したランドックの「マ・ド・ドマ・ガサック」
- 田舎町のマイナーな醸造家
なんかは、ボケーっと観てると、心酔してしまいそうなフォーカスのされ方をしています。
ポイントとしては、「誰もが美味しいと感じるワイン造り」をしている人達は、総じて「お金持ち演出」されている所。
- 「ミシェル・ローラン」の研究所風景(まるで毒薬を造っているかのような様子)、ロールスロイスっぽい車で移動中葉巻と、携帯で部下への指示の仕方、上から目線で語る武勇伝。
- 「ロバート・パーカー」の自宅で飼われている何匹もの高そうな番犬
- 「ロバート・モンダヴィ」をまるで越後屋とドラ息子を思わせるような薄暗い場所でのインタビュー。
- 「シャトー・ムートン」の撮影のために樽を綺麗に磨き上げる、異常なまでの美徳意識。
対する自然派勢は、
みすぼらしい服装に、質素な家。
涙ながらに訴えかけてくるメッセージは、同情心をくすぐられます。
しかし、庶民のワイン研究所の見解としては、
悪役ワイン最強。
マーケティングを駆使した、売れるためのワイン。
醸造技術や企業努力で成し得る「安くて美味しくて、いつでも同じ味」を提供してくれる事は、庶民の懐事情を考えると、正義以外何者でもありません。
そして、無限にあるワインの中から、格式にとらわれない「分かりやすい味」で点数の上下をつける評論家。
100年以上続くボルドーの格付けで例外的に昇格をするほどの起業力と誰もが知る「羊マークの超高級ワイン」ブランディング。
これを受け入れないで、批判するなど、玄人気取りの素人に思えます。(嫌なら買わなければ良い)
決して、自然派ワインを否定しているわけではないですが、庶民の消費者としては、テロワールワインは「大衆向けの販売ライン(廉価価格版)」が少ないので、リスクが高い。特に、大衆の麻痺した味覚だと、土地の味を理解するなんて、単一畑ワインを飲み慣れているお金持ちに限られるのではないでしょうか。
しかし、悔しかな、驚くべきほどの味わいを体験できるのは「自然派ワイン」なのは否定できない一つの事実。大きな声で言えない正直な意見としては、
お金持ちは、自分の買うワインを好きなように選べるけど、庶民は、いかに安くてブランド力があるワインを買うかに限られしまっている。
特典映像では、映画監督が寿司屋でワインを飲んでいるのですが、「ワイン愛」が伝わり、とても好印象。現在2度の視聴ですが、観るたびに感想が変わりそうな考え深い作品です。
ちなみに、視聴後「マ・ド・ドマ・ガサック」と「ドメーヌ・ド・モンティーユ」のワインを買ってしまったのは、秘密にしておきましょう。