クロイツベルク シュペートブルグンダー
Kreuzberg Spatburgunder
参考小売価格:4200円
産地:アール
品種: シュペートブルグンダー
購入元:ヘレンベルガーホーフ
インポーター:ヘレンベルガーホーフ
テーブルの中央には、スダチドリの砂肝アヒージョ。
スダチの香りがほのかに漂い、オリーブオイルがグツグツと踊る。
この香りに呼ばれるように、赤を開けることにした。
選んだのは同じくヘレンベルガー・ホーフからの一本、
クロイツベルク・シュペートブルグンダー(アール地方)。
この地域はドイツの中でも珍しく、赤ワイン比率が高い産地だ。
グラスに注ぐと、薄紫にオレンジをわずかに帯びた液体が光を透かす。
まるで上質な絹。
その色だけで、高貴なワインであることを物語っている。
香りは、深みのあるサクランボ、紅茶、べっこう飴。
そこに森の葉を思わせる青いニュアンスと、
かすかなスパイスの陰影。
ブルゴーニュの一級畑を連想させるような複雑さがある。
口に含むと、空気のようにふわりと広がる。
酸と甘みが見事に融け合い、どこまでも優しい。
「酸が苦手」という人でも、これは美味しいと言うはずだ。
砂肝のアヒージョと合わせてみると、
ワインの酸が油を洗い流し、香りだけを残していく。
理性と快楽の交差点のような一口。
ただ——
正直に言うと、このワインは食中ではなく、
正座して静かに向き合いたくなるタイプだ。
香り、温度、余韻。
そのすべてを逃したくない。
グラスの中で時間が止まる。
高いワインは、だからこそいい。
値段以上の集中を与えてくれる。
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