シノン ル パラディ 2017
CHINON LE PARADIS
参考小売価格:2899円
産地:ロワール、シノン
品種: カベルネ・フラン
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノヴィーノ
カベルネ・フランの真髄を探るべく、今回はロワール渓谷中部に位置する「シノン(Chinon)」を取り上げます。あまり売っていないうえに、ニューワールドではほとんど見かけないカベルネ・フラン。いざ特訓しようにも、なかなか数を揃えて飲むことが難しい品種です。そんな中、手に入ったのは8年熟成のシノン。個人的に飲んだ中では最も長期熟成されたシノンで、今回の主役にふさわしい一本です。
シノンという土地とその魅力
シノンは、フランス・ロワール渓谷の中部にある、人口約9,000人の小さな町。中世の古城が点在する絵画のような風景が広がり、2000年にはユネスコ世界遺産にも登録されました。風刺作家・グルメとしても知られるフランソワ・ラブレーの故郷としても有名です。
気候は、冬は冷涼で雨が多く、夏は乾燥する海洋性気候。ここで栽培されるカベルネ・フランは、滑らかなタンニンとエレガントな酸が特徴で、「AOCシノン」はその名を世界に知らしめています。
テイスティング:熟成がもたらす複雑なニュアンス
色調はしっかりと熟成の兆しを見せ、やや濁りを帯びたガーネット。エッジにはオレンジがかったトーンも。香りは一歩深く、獣的な要素や枯れ葉、湿った落ち葉のようなニュアンスが立ち上がります。
口に含むと、まずはキュッと引き締まった酸。さくらんぼやスパイス、そしてドライハーブ、土や砂利のようなミネラル感もあり、複雑な層が重なります。余韻ではタンニンがじわりと現れ、全体として極めてドライ。単体で飲むより、オイリーな肉料理と合わせたときに真価を発揮するタイプです。
ピーマン香はカギか否か?
カベルネ・フランといえば「ピーマン香」が代表的な指標ですが、このワインは熟成によってその青さは後退し、代わりに土壌と時のニュアンスが前面に出ていました。これは、ブラインドテイスティングではむしろ“難問”になるタイプの1本かもしれません。
総評
やや硬質で孤高な雰囲気のシノンですが、その奥には繊細な果実と土の記憶が重なり合い、時間をかけて味わいたくなる魅力があります。派手さはありませんが、良い食事と静かな夜に寄り添う、そんなワインです。
本日の組み合わせ
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Cランク (24年3月より基準改定)
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