創業120周年記念ワイン
参考価格:1870円
購入:日本ワインにしよう
品種:キャンベルアーリー
産地:岩手
製造:神田葡萄園

「今日も日本ワインにしよう」のサブスクリプションで届いた1月の1本。岩手県陸前高田市の神田葡萄園が手がける、創業120周年を記念した特別なロゼワインである。

明治から続く物語を纏った1本

神田葡萄園の歴史は明治38年に遡る。気仙大工として出稼ぎに出た初代・熊谷福松が梨の穂木を持ち帰ったことに始まり、息子の千代吉が葡萄栽培と醸造に情熱を注いだ。「恵比寿葡萄酒」の屋号で数々の賞を受けた醸造は、戦後の混乱期に一度途絶えたものの、2015年に再開。2025年は創業120周年とリアスワイン醸造10周年が重なる節目の年となった。

この記念ワインは、当時のレシピこそ残っていないものの、先代への敬意を込めて「滋味深さ」を表現すべく醸された1,809本限定の1本だ。ラベルには当時のデザインをリバイバルしている。

テイスティングノート

キャンベルアーリーといえば、正直なところ「甘ったるいジュースのような味わい」という印象が拭えない。そこで今回は冷蔵庫でキンキンに冷やしてからグラスに注いだ。

香りは冷えた状態でも、グラスから離れていても届くほど鮮烈。イチゴジャムを思わせる甘やかな果実香が漂う。口に含むと、予想通りのキャンベルアーリーらしい味わいがストレートに広がる。わかりやすい美味しさ、と言えばいいだろうか。

優しい口当たりで、悪く言えばジュースっぽい。いや、これは褒め言葉かもしれない。気を許すとグイグイ杯が進んでしまうタイプである。アルコール度数10%と軽やかで、アルコールが苦手な方にも親しみやすい。

興味深いのは、短い醸しによるクレーレタイプならではの特徴だ。冷えた状態でも赤ワイン由来の渋みがほのかに感じられる。温度が上がるにつれて、ライトからミディアムボディの、ほんのり甘い赤ワインとしての表情を見せてくれるだろう。

総評

税込1,870円という価格設定は、120年の歴史とストーリーを考えれば非常に良心的。コストパフォーマンスの高い1本である。

福松や千代吉がこのワインを飲んだら、何と言うだろうか。「もっと鍛錬を積みなさい」と励ましてくれるかもしれない——蔵元自身がそう綴っている。6代にわたって継承されてきた想いが、グラスの中で静かに語りかけてくる。そんなワインだった。

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com