ヴァランタン・チュスラン ピノ・グリ ボーレンベルグ
Valentin Zusslin Pinot Gris “Bollenberg”
参考小売価格:4950円
産地:アルザス
品種: ピノ・グリ
購入元:ウメムラ(楽天)
インポーター:テラヴェール
8月後半から9月にかけては、アルザスやドイツのワインを重点的に楽しんでいます。今回はアルザスの高貴4品種のひとつ ピノ・グリ を取り上げ、カジュアルな1本と8年熟成を経た高級ピノ・グリを比較しました。
前回のカジュアルラインでも「この価格でここまで?」と驚かされましたが、5千円近いクラスに入るとさらに別次元。熟成を経たピノ・グリがどのように表情を変えるのかを探っていきます。
高級ピノ・グリの第一印象
まず目を引いたのは外観です。飾り気のないロウキャップに長いコルク。この時点で「特別な1本」であることを直感します。
グラスに注げば、香りは掴みどころのない複雑性。
- 柑橘やミネラルを中心に、
- 蜂蜜やバニラ、ナッツのニュアンスが折り重なり、
- どこかシャンパーニュや高級ブルゴーニュを思わせる奥行き
味わいは苦味と酸味が主体。しかし、ボリュームがしっかりとあるため尖った印象はなく、アルコール度数の高さも見事に溶け込んでいます。まさに「舐めるワイン」。ゆったりとした余韻が心を解きほぐし、贅沢な時間を与えてくれます。
個人的には「年に数回しか手を伸ばさない1万円級ワイン」に匹敵する体験でした。
生産者の背景 ― ドメーヌ・チュスラン
このワインを生み出すのは、フランス2大評価誌のひとつ「ベタンヌ・ドゥソーヴ」が アルザスで最も注目すべき生産者 と評する「ドメーヌ・チュスラン」。13代にわたって続く家族経営で、現在は若き姉弟マリーとジャン・ポールが当主を務めています。
土壌と気候
- 畑はフランスで最も乾燥した丘のひとつ「ボーレンベルグ」
- 年間降水量わずか500ミリという極端な乾燥地帯
- 粘土石灰質に鉄を多く含む土壌が、直線的で凝縮したミネラル感を生む
この特異な環境からは、長い余韻と輪郭のはっきりした味わいがもたらされます。
栽培と醸造
- 2世代にわたりビオディナミ農法を実践
- 畑作業には馬を導入し、葡萄にも環境にもストレスを与えない哲学
- 収穫後は10時間以上かけて全房プレス
- 補糖・補酸を行わず、天然酵母のみで発酵
- 伝統的フードル樽で12~18ヶ月熟成
さらに瓶熟成を重視し、数年の眠りを経たワインしか出荷されません。この徹底ぶりが、今回のボトルに表れた「丸み」と「複雑性」を裏打ちしています。
考察
ピノ・グリは「万能で無難」と評されることが多い品種ですが、チュスランの熟成ピノ・グリはそのイメージを軽々と超えてきました。
- カジュアルラインでは「お値段以上の安心感」
- 熟成ラインでは「高級ブルゴーニュに匹敵する奥行き」
品種の幅と造り手の力量が見事に掛け合わさることで、ピノ・グリは単なる食中酒の枠を超え、真に「芸術的なワイン」へと昇華するのだと実感します。
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定)
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