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フランス/アルザス地方

リースリングの「グラン・クリュ」、その響きに期待しすぎたかもしれない話

ジャンビシェール シェーネンブルク アルザス リースリング

Jean Biecher Riesling

参考小売価格:4620円

産地:アルザス

品種: リースリング

購入元:ウメムラ(楽天)

インポーター:マルカイコーポレーション

8月後半から9月にかけて、アルザスやドイツのワインを集中的に楽しんでいこうと思っています。今回はその一環として、「アルザスといえば」の代表品種リースリングを、カジュアルタイプとグラン・クリュで飲み比べてみました。

今回取り上げるのは、**アルザス・グラン・クリュ「シェネンブルグ」**のリースリング。響きからして荘厳ですよね、グラン・クリュって。ブルゴーニュなら覚えている畑名も多いのですが、アルザスとなると話は別。地名なのか生産者名なのか、最初は判断すらつかないのが正直なところです。ワインエキスパートコンクールに出るつもりでなければ、なかなか覚える気力も湧いてきません。しかも全部覚えても、実際に飲める機会なんて一生に一度あるかどうかですから。

ジャン・ビシェールとシェネンブルグの魅力

このワインを造っているのは、1762年創業の老舗ジャン・ビシェール(Jean Biecher)。フランス観光名所としても有名なオー・ケーニグスブール城の麓、リクヴィール北部に拠点を構える家族経営ワイナリーで、現在は9代目オリヴィエ・ビシェールが指揮を執っています。

アルザスの中心部に広がる自社畑の一部が、今回の舞台**「シェネンブルグ(Schoenenbourg)」。標高265〜380mの南〜南東向きの急斜面に位置し、泥灰土やドロマイト、貝殻石灰岩など複雑な地質構成**を持つテロワールです。16世紀から名声を誇る畑で、ヴォルテールも畑を所有していたほどの銘醸地。かの地図製作者メリアンも「もっとも高貴なワインが生まれる土地」と称えたと言います。

そんな土壌から生まれるリースリング、期待しないわけにはいきません。

テイスティング:香りで魅了し、味わいは変幻自在

まず色合い。先に飲んだカジュアルなリースリングが緑がかった淡いイエローだったのに対し、こちらはより濃厚な黄金色。グラスに注いだ瞬間から、ただものではない雰囲気が漂います。

香りも秀逸。白桃のアロマはカジュアルタイプにも共通していたのですが、こちらはまるで完熟した桃をそのまま鼻に近づけたような瑞々しさ。そこに、ペトロール、蜂蜜、ハーブ、スパイス、さらにはジャスミンのようなフローラルな香りが幾層にも重なり合い、ひとことで言えば高級な香水のような、エレガントで複雑なブーケです。

そして味わいは、一口ごとに変化するタイプ。最初はシャープな酸とほろ苦さに支配されていたかと思えば、次の瞬間にはふわりと甘味が鼻を抜ける。まるで表情豊かな人物と対話しているかのような、多面的な構造を持ったワインです。

で、4千円超えに値するのか?

とはいえ、正直に言えば、少しばかり期待しすぎてしまっていたかもしれません。カジュアルワインの次に飲んだことで余計に「これはすごいに違いない」というバイアスがかかっていた分、「もっとひれ伏すような感動があるはず」と思ってしまったのです。

いや、確かに香りも味も格段に格上。しかし、「うわ、何これ……!」と息を呑むところまではいかなかった。**「まぁ、これぐらいは楽しませてくれないとね」**という感想にとどまったのが本音です。

とはいえ、このクラスのリースリングは時間とともに進化する熟成型。飲み頃を数年〜十年後に設定しているワインを、今開けたのですから、そのポテンシャルを十分に引き出せていない可能性は大いにあります。そう考えると、**これは「今ではなく未来のワイン」**なのかもしれません。

庶民のお酒ランク(詳細

今回のワインは:Cランク (24年3月より基準改定

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com