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フランス/ロワール地方

爽やかさとピリ辛感のバランス──“シュール・リー”が効いた一本

シャトー デ ゴートロニエール ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー チュリパ シルベストリス 

CHATEAU DES GAUTRONNIERES MUSCADET SERVRE ET MAINE SUR LIE TULIPA SYLVESTRIS BIO

参考小売価格:1780円

産地:ロワール

品種: ミュスカデ

購入元:ヴェリタス(楽天)

インポーター:ワインプレスインターナショナル

7月前半は、ロワール地方の東側──サンセール、プイィ・フュメ、トゥーレーヌなど、ソーヴィニヨン・ブランを中心に集中的に味わってきました。軽やかな酸、石灰質土壌由来のミネラル感、そして造り手による表現の違い。その余韻が残る中で、今回はロワールの“もうひとつの顔”、西側に舵を切ってみることにしました。

購入したのは、楽天でも高評価を集める「ヴェリタス」さんの直輸入ワインセット。
『ロワール白ワイン4本飲み比べセット(6820円)』──内容はミュスカデ3本+ソーヴィニヨン・ブラン1本。ピンポイントで「今欲しい」が詰まった構成です。

というのも、東側で飲んだソーヴィニヨン・ブランの小瓶がまだ数本手元に残っており、生産者違い、村違い、さらには区画違いでの比較が可能。その意味でも、このセットの“1本だけのソーヴィニヨン”は、すでにある東側との対比という点で非常に価値があるのです。

そして、今回の主役とも言えるミュスカデ。
「どうせどれも同じでしょ?」──そんな偏見すら自分の中にあることを自覚しつつ、3本の比較で本当にそうなのかを検証する意図もあります。面白いのは、それぞれのビンテージが2023、2022、2021と見事に1年ずつずれている点。この絶妙な揃い方だけでも、このセットの選定にセンスを感じます。

価格面ではどのボトルも大差ないものの、香味の変化とともに「値段の納得度」も含めた飲み比べが楽しめそう。ということで、さっそくテイスティングへ──

続いては2022年ヴィンテージ。
グラスから立ち上る香りは、レモンやライムといった柑橘類が中心。2023年の蜂蜜系リッチなニュアンスとは打って変わって、よりシャープで引き締まった印象を受けます。

一口含んでみると──思わず「シュール・リー、効いてる!」と唸ってしまう。
軽やかでフレッシュ、なのに口中にほのかに広がるピリッとしたスパイス感。この“ピリ辛系”の余韻が実に面白い。

ここで少し解説を。
シュール・リーとは「澱(おり)とともに熟成させる」製法のことで、ミュスカデや甲州など、比較的中性的でニュートラルな白ワインに深みやコクを与える伝統的な技法。ピリ辛と感じるのは、発酵過程で生まれる微細な炭酸がまだわずかに残っていることも一因で、それが味わいにアクセントを加えています。
ちょっとした豆知識として、「このピリッと感、もしかしてシュール・リー?」なんてさらっと言えれば、ワイン通っぽさがグッと増すこと請け合いです。

造り手は前述のとおり、ボネ・ユトゥー氏。
彼のワインはすでに、パーカー92点パリ農業コンクール金賞アシェット・ガイド2つ星という輝かしい評価を獲得済み。さらに、オーガニック栽培やリュット・レゾネの実践、樹齢50年超の古木によるブドウの質の高さといった背景も、ワインの完成度に直結しています。

醸造は地下のガラスタンクとステンレスタンクを併用し、17〜20℃という低温で丁寧に発酵。果実味と酸のバランスが見事で、派手さはないものの、飲み疲れしない上質なフレッシュ感を備えています。

2023年が“厚旨”なら、2022年は“爽旨”。
引き締まった骨格の中に、柑橘系の果実味とわずかな複雑さが共存し、まるで上質なレモネードのような爽快感が楽しめる一本でした。

庶民のお酒ランク(詳細

今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com