参考価格:5800円
購入:日本ワインにしよう
品種:MBA&ブラッククイーン
産地:山形
製造:BELLWOOD VINYARD
12月の冷え込む季節、日本ワインにしようの宮坂佳奈さんから、心温まるクリスマスプレゼントをいただいた。ボトルの名は「Gift」。山形県上山市に居を構えるベルウッド・ビンヤードが手掛ける一本だ。
この「Gift」という名前には、単なる贈り物という意味以上に、深いメッセージが込められている。使われているのは、日本ワインの父・川上善兵衛が人生を捧げて生み出した二つの品種、マスカット・ベーリーAとブラック・クイーン。この品種たちが持つポテンシャル、つまり「天性の才能(ギフト)」と、造り手の情熱が共鳴して生まれたワインなのだ。
抜栓の際、まず目を引くのはボトルの口を覆うワックスシールだ。個人的には、開けるときに破片が飛び散るため少し苦手意識があるのだが、この一本に関しては質感も良く、ストレスなくスマートに開けることができた。何より、この重厚な設えには生産者の揺るぎない自信が宿っているようで、これから始まる体験への期待を高めてくれる。
グラスに注ぐと、色調は力強く濃いめ。香りはマスカット・ベーリーA特有の華やかさをベースにしつつも、安直なイチゴキャンディーのようなニュアンスではない。ブラックチェリーや新鮮なイチゴの果実味の奥に、土の香りや湿った草のような、大地のエネルギーを感じさせる要素が潜んでいる。
味わいについては、少し独特なアプローチが必要かもしれない。発酵直後の個性を残しているのか、抜栓したては酸味とタンニンが非常に強く、単体ではその真価を掴みづらい。しかし、これこそが「食事との掛け算」で化けるタイプなのだ。
今回は、ソムリエの舌はめんどくさいでお馴染みの貴田たかふみシェフによる考案レシピでペアリングを試みた。これが驚くほどの的中だった。肉の力強い旨味を、ワインの酸とタンニンが真っ向から受け止め、見事に調和させる。さらに味噌や昆布出汁といった和の要素が加わると、それぞれの成分が共鳴し、日本の赤ワインとしての完成度が一段と引き上がる。実際に焼肉と合わせた際も、その相性の良さは圧倒的だった。
もし料理を用意するのが面倒なら、厚めに切ったチーズをかじるだけでもいい。それだけでワインの表情は一変し、内に秘めていた芳醇な音量が一気に増幅される。時間の経過とともに硬さが取れ、本来の良さがじわじわと染み出してくるため、腰を据えてじっくりと向き合いたいタイプの一本だ。
一年を締めくくるご褒美として、あるいは大切な誰かの心に寄り添う一杯として。造り手から、そして品種から贈られたこの特別な「Gift」は、日本ワインの奥深さを改めて教えてくれた。
日本ワインにしようリンク
関連