ヴィラ・ノリア・アンフォラ・ペット・ナット・オレンジ・ナチュール
Villa Noria Amfora Pet Nat Orange Natural
参考小売価格:3850円
産地:フランス
品種: ミュスカ・ブラン・プティ・グラン
購入元:燃えるカワサキ(楽天)
インポーター:ヴォガインターナショナル
自然派ワインをこよなく愛する方ならきっとご存じ、「燃えるカワサキ」さん。楽天市場でもひときわ目を引くそのセレクトは、単なるナチュールの枠を超え、造り手の背景や土地の個性までも語ってくるようなラインナップが魅力です。
今回いただいたのは、そんなカワサキさんで購入したペットナットセットの最後の一本。定価は4千円近く。大切にしすぎてなかなか手が伸びなかったのですが、冷蔵庫に泡ものの在庫が尽きたことをきっかけに、ついにその封印を解くことになりました。
泡ものへの偏愛、そしてペアリングの悦び
実のところ、私はワインの中でもペットナット(ペティヤン・ナチュレル)が一番好きです。発酵途中で瓶詰めすることで生まれる自然な泡、控えめなガス圧、そして旨味の乗った優しい味わい──どれもが日常の食卓にぴたりと寄り添ってくれます。
今回は、酒盗マヨネーズを塗って焼いたサーモンに合わせて。発酵由来の複雑味が、酒盗の旨味と絶妙に絡み合うのではと踏んだペアリングです。
醸造家の哲学が詰まった一杯
ワインを注ぐと、驚くほど美しいアンバーオレンジ。ガス圧は高めで、注いだ瞬間にしっかりとした泡が立ち上りますが、持続性は穏やか。口に含むと、みかんのようなジューシーな柑橘感に、かすかにハーブと白胡椒のようなニュアンスが加わり、奥行きのある仕上がり。スッキリとしていてクセがなく、まるでノンアルかと思うほどスイスイと飲み進めてしまいました。
あっという間に飲み干してしまいましたが、夜中には軽い頭痛が。おそらくこれはアルコール度数によるものというより、脱水の影響でしょう。というのも、スティルワインであれば炭酸水をチェイサーに用意するのですが、泡ものの場合、つい炭酸水を控えてしまいがち。スパークリングを楽しむときは、水分補給を意識的に取りたいところです。
ワインの背景を知ると、さらに愛おしくなる
このワインを手がけるのは、2010年設立の新進ワイナリー。地中海性気候の粘土石灰質土壌に育つ地葡萄を、アンフォラ(陶器)で醗酵・熟成させたペットナットです。醸造を手がけるのは、ワインとスピリッツの国際貿易の修士号を持つファビアン・グロスと、国家ディプロマ保持者のセドリック・アルノーという二人の若き醸造家。
化学的介入を極限まで排除し、亜硫酸は無添加(計測不能レベル)、清澄もせず、ボトリング前に粗い濾過を施すのみという徹底ぶり。3カ月の醸しを経てアンフォラで熟成することで、微量な酸素との接触がこの深い色合いと豊かな旨味を引き出しています。
ペットナットといえばライトで気軽なイメージもありますが、これは「ナチュールの本気」を感じさせる1本。ペアリングにおいてもその懐の深さがあり、酒盗マヨネーズのような癖のある食材を包み込む包容力には舌を巻きました。
まとめ
ナチュラルワインは、ただ「自然」だから良いのではなく、造り手の思想が反映されたストーリーそのもの。今回のように、背景を知って味わうことで、単なる1本のワインが特別な体験へと昇華するのだと改めて実感しました。
次の泡ものを仕入れるまでに、もう少し在庫の管理をしっかりしなければ……と反省しつつ、また一歩ナチュラルワインの沼へと深く潜っていきます。
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定)
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