ミュスカデセーヴルエメーヌシュールリーキュヴェラルヴロディエール
MUSCADETSERVRE ET MAINE SUR LIE CUVEE LA LEVRAUDIERE BIO
参考小売価格:1840円
産地:ロワール
品種: ミュスカデ
購入元:ヴェリタス(楽天)
インポーター:ワインプレスインターナショナル
7月前半は、ロワール地方の東側──サンセール、プイィ・フュメ、トゥーレーヌなど、ソーヴィニヨン・ブランを中心に集中的に味わってきました。軽やかな酸、石灰質土壌由来のミネラル感、そして造り手による表現の違い。その余韻が残る中で、今回はロワールの“もうひとつの顔”、西側に舵を切ってみることにしました。
購入したのは、楽天でも高評価を集める「ヴェリタス」さんの直輸入ワインセット。
『ロワール白ワイン4本飲み比べセット(6820円)』──内容はミュスカデ3本+ソーヴィニヨン・ブラン1本。ピンポイントで「今欲しい」が詰まった構成です。
というのも、東側で飲んだソーヴィニヨン・ブランの小瓶がまだ数本手元に残っており、生産者違い、村違い、さらには区画違いでの比較が可能。その意味でも、このセットの“1本だけのソーヴィニヨン”は、すでにある東側との対比という点で非常に価値があるのです。
そして、今回の主役とも言えるミュスカデ。
「どうせどれも同じでしょ?」──そんな偏見すら自分の中にあることを自覚しつつ、3本の比較で本当にそうなのかを検証する意図もあります。面白いのは、それぞれのビンテージが2023、2022、2021と見事に1年ずつずれている点。この絶妙な揃い方だけでも、このセットの選定にセンスを感じます。
価格面ではどのボトルも大差ないものの、香味の変化とともに「値段の納得度」も含めた飲み比べが楽しめそう。ということで、さっそくテイスティングへ──
まずは2023年ヴィンテージから。
グラスに注いだ瞬間に香るのは、メロンや洋梨の熟した果実香。よくあるミュスカデに感じるレモンやグレープフルーツといった柑橘系のニュアンスは控えめで、代わりに蜂蜜のようなふくよかさが香味全体を包みます。
口に含んで驚くのは、その“リッチさ”。
しっかりとしたコクと厚みがあり、余韻も長く、今までの「軽くてニュートラルなミュスカデ」の印象を大きく覆す味わいです。正直、2,000円以下のミュスカデとしては群を抜く完成度で、これまで飲んだ中でも一番うまいと素直に思いました。
このワインを造るのは、ヴェリタスさんが強く推している「ボネ・ユトゥー」氏。
彼の手掛ける「シャトー・ラ・タルシエール」は、あの『ワイン・アドヴォケイト』誌にて、ミュスカデとしては異例ともいえるパーカー92点を獲得。また、フランス国内で最も権威あるパリ農業コンクールでは金メダル、そして有名ワインガイド『アシェット・ガイド』でも2つ星という高評価を得ています。
樹齢50年を超える古木から収穫されるブドウは、リュット・レゾネ(減農薬)を経て、現在は完全オーガニックへ。畑には雑草が生い茂り、自然の力を最大限に活かしたアプローチ。地下のガラスタンクとステンレスタンクを使い、17〜20℃の低温で丁寧に発酵。フルーティーさとフレッシュさを損なわずに引き出されています。
結果として生まれたこの2023年ヴィンテージは、ミュスカデの“新しい可能性”を感じさせる一本。
細身で辛口という基本の型は守りつつ、その中に確かな奥行きと複雑さがあり、飲み進めるごとにじわじわと広がる満足感。まさに、「薄旨」ではなく「厚旨」──そんな言葉がしっくりくるスタイルです。
これが2千円以下とは…恐れ入りました。
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Aランク (24年3月より基準改定)
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