久々の書籍紹介です。
この本は、ブルゴーニュワインの素晴らしさを日本に伝えた「ワインエージェント」坂口功一さんの半生を描いた伝記的物語。
ワインエージェントとは、生産者とインポーターの架け橋的なポジション(通称ミドルマン)。坂口さんは、日本でワインが全く流通していない時期に、そのパイオニアとして成功を納めた方です。
フランスの地名(畑名)や生産者名は必然的にカタカタなので、読み手の予備知識が必要となっている内容ですが、ブルゴーニュワイン好きや、40歳以下のワイン愛好家には、過去どのように日本でワインが反映していったのかを知れる歴史書でもあります。
著者は「山本昭彦」さんで、ワインジャーナリストとして活躍されているプロ中のプロ。主な書籍に「50語でわかる! 最初で最後のシャンパン入門」や「読めば身につく! これが最後のワイン入門」があり、アマゾンでも一定数の高評価を得られています。
たくさんのワイン本を出されているだけあり、ワイン初心者には難易度が高い言い回しが少なくないですが、文章はスッキリしていて読書偏差値が低くても読みやすい内容となっています。
本の主な内容
第一章では坂口さんの20〜40歳ぐらいまでの物語になっており、学生時代、サラリーマン時代(商社でバリバリ)が描かれ、貿易商を起業する動機などを掘り下げられています。
第二章では、ブルゴーニュの開拓記やエージェント業の苦労話がメインとなっております。洗礼されていたボルドーと違い、農民気質なブルゴーニュ生産者たちとどう向き合って言ったかは読み応え抜群です。
そして、いよいよ軌道になりだした第三章。バブル期の波で日本にもワインが浸透してきた時代背景を知ることができ、当時子どもだった私にとっても貴重な資料となっています。ここで、有名生産者たちと坂口さんがどんどん繋がっていくのですが、インポーターさんとのやりとりや「ロバートパーカー」「田崎慎也」などのワイン界有名人の小話も登場し、時代背景の理解度がさらに深まってきます。
第四章〜第六章はブルゴーニュワイン情勢を掘り下げられています。主に90年代から00年前半ぐらいの時代の話になっており、「ドメーヌ」と「ネゴシアン」の立場が時代情勢によってどのように変化していったのか垣間見れます。ビックネームもさることながら、初めて知った名前が飛び交い読書中はネットワインショップのパトロールが始まってしまうこと間違いなしですよ。
後半に進むにつれて、坂口さんのパーソナルな部分にも触れられており、奥さんの話や、事業継承など、ビジネス書的な要素も楽しめます。
まとめ
正直なところ、成功者のサクセスストーリーとしては「苦労→成功→試練→大成功」の王道的流れなので、ワイン好き以外には興味が沸かないかもしれません。
しかし、ブルゴーニュワインを月1本以上飲むような人なら、自分が飲んだことあるワインの名前が必ず登場し、その歴史を「日本人視点」で垣間見ることができるので胸熱になるの間違い無しです。。