ゲオルグ ブロイヤー ソヴァージュ リースリング Q.b.A. トロッケン
Sauvage Riesling Q.b.A.trocken/Georg Breuer
参考小売価格:4730円
産地:ラインガウ
品種: リースリング
購入元:ヘレンベルガー・ホーフ
インポーター:ヘレンベルガー・ホーフ
フランクフルトを焼こうと思ったとき、真っ先に浮かんだのはやはりドイツワインだった。
ひと月以上前に購入していたが、4,000円を超えるリースリングとなると、なかなか気軽には抜栓できない。特別なタイミングを待ち続け、ようやく朝の静けさの中でコルクを開けた。味覚が最も研ぎ澄まされ、アルコールが完全に抜けている時間帯。フランクフルトを挟んだホットサンドとともに、冷えたグラスを手に取る。
グラスに注いだ液体は淡いイエロー。だが香りは驚くほど力強い。
グレープフルーツやレモンの爽やかさ、ミントの清涼感、白い花、湿った石、そして奥に潜むはちみつやメロンの甘やかさ。口に含むと、鮮烈な酸が舌の上を走り、ベッコアメのような余韻が静かに残る。
軽やかな印象ながらアルコールは12%。数値以上に繊細で、アルコール感を感じさせない品の良さが、私にとって“良いワイン”の基準をしっかり満たしている。
思えば、割引なしで単品4,000円超のリースリングを買ったのはこれが初めてだった。だがその一杯が、価格以上の納得を与えてくれる。まさにリースリングという品種の“お手本”のような一本だった。
ゲオルグ・ブロイヤーという名の信念
今回のワインは、ドイツ・ラインガウの名門「ゲオルグ・ブロイヤー」のソヴァージュ・リースリング・トロッケン。
この醸造所を知るうえで最良の入門ワインとされるもので、透き通るような酸、豊かなミネラル、一本筋の通った辛口の味わいが印象的だ。
ほんの百年前、世界で最も高価なワインはボルドーでもブルゴーニュでもなく、実はこの地・ラインガウのリースリングだったという。
その栄光を取り戻すために生涯を捧げたのが、故ベルンハルト・ブロイヤー氏。ドイツワインの復権運動「リースリング・ルネッサンス」の火付け役であり、辛口への転換、格付け制度の改革、カルタ同盟の創設など、現在のドイツワインを語る上で欠かせない数々の改革を成し遂げた人物だ。
2004年に彼が他界した後、その志は娘のテレーザ・ブロイヤー氏へと引き継がれた。
彼女の代になってもブロイヤー家の哲学は変わらない。ワイン法に縛られず、リースリングを自らの美学で4段階に分類し、畑の個性を純粋に表現する。裏ラベルに記されたローマ数字Ⅰ~Ⅳはその象徴だ。数字が小さいほど上級で、果汁の濃度も高い。今回のソヴァージュはその中でも、日常と非日常のちょうど境目に立つ“研ぎ澄まされた辛口”に位置づけられる。
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定)
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