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・テイスティング日記

日本ワインにしよう!ネオトレイルオレンジ、山形:秋保ワイナリー

ネオトレイル オレンジ [2024]秋保ワイナリー

参考小売価格円:3300円

産地:山形

品種: デラウエア、ネオマスカット

購入元:日本ワインにしよう

製造:秋保ワイナリー

https://youtube.com/shorts/BL-0KmrjG5U

日本ワイン縛りの3本目は、日本ワインのサブスクサービス「日本ワインにしよう」10月分として届いた秋保ワイナリーのネオトレイル オレンジ。

2本セットで届いたまま手を付けられずにいたのですが、年末に向けてワインが溜まっていく焦りもあって、ここ最近は日本ワインばかり開けています。割引がほぼ存在しない日本ワインにとって、サブスクは背中を押してくれる貴重な入口で、知らないワイナリーと自然に出会えるのが魅力です。今回の秋保ワイナリーも、その文脈で言えば私にとって未知の存在でした。

ネオトレイルは、秋保ワイナリーが掲げる「新しい楽しみ方」を体現するシリーズの第1弾。山形県産のデラウェアとネオマスカットを組み合わせ、無濾過で仕上げた意欲的な1本です。定価は3千円をこえるので、ヨーロッパならアルザスやロワールの村名クラス、イタリアやスペインにも選択肢が広がります。ただ、ここを単純に比較するのは本質からずれてしまうと感じています。ワインには土地の文脈があるので、ヨーロッパの基準で日本ワインを測るのは、フレンチとお寿司を同じ物差しで比べるようなものです。どちらが上か下かの話ではなく、価値の軸そのものが違います。

色調はロゼの印象に近く、オレンジワインと聞いて身構えていた濁り感は強くありません。無濾過ながら軽やかで、見た目からしてクリーン。香りはかんきつの明るさが中心にあり、レモンのようなフレッシュさに加えて、立体的にフローラルが立ち上がります。1方向では終わらない多層性があって、軽いスタイルのワインにありがちな物足りなさがありません。

味わいは、私が好む苦味やえぐみのニュアンスがほどよくありつつ、飲み手を試すような尖り方はしていません。ワイン舌になると、いわゆる飲みにくさに面白さを感じる局面がありますが、このワインはそこまで玄人性に振らず、やさしさと繊細さがきちんと残っています。口当たりが柔らかく、引っ掛かりがないので、多くの人がすんなり入っていけると思います。

日本食との相性は非常に良さそうで、大人のジンジャエールのような役割を果たす1本です。強い主張で料理を押しつぶすのではなく、食事の輪郭を静かに整えるような働きがあります。海外ワインにはブランド力や知名度の後押しがあるため、ワイン会では選びやすい反面、日本ワインの場合はその保証がないので初心者には勧めにくい面があります。とはいえ、旅した土地を思い出す感覚で飲めるのが日本ワインの良さで、できればしばらく日本ワイン縛りで過ごしたい気持ちすら湧いてきます。

ネオトレイル オレンジは、そうした日本ワインの魅力を静かに教えてくれる存在でした。

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com