マルク・テンペ アムゼル ピノ・ブラン
MARC TEMPE AMZELLE PINOT BLANC
参考小売価格:4180円
産地:アルザス
品種: ピノ・ブラン
購入元:ウメムラ(楽天)
インポーター:ディオニー
8月後半から9月にかけては、アルザスやドイツのワインを集中的に味わっていこうと思います。
その手始めに取り組むのが、ピノ・ブランの飲み比べ。今回のテーマは「価格差は味わいにどう反映されるのか」。前回の2千円台ワインに対し、今回は4千円台。単純に倍額となるその差を、舌でどう感じ取れるのかを検証してみました。
テイスティングノート
まず外観。2千円のピノ・ブランと比べても、色調は大差ありません。緑がかったイエローで、ディスクの厚みもほぼ同じ。見た目では価格差は測れないようです。
香りはやや閉じ気味で、スワリングを重ねると少しずつ洋梨やレモンといった柑橘、さらにはミネラルを思わせる貝殻のニュアンスが立ち上がってきます。口に含むと甘さはなく、むしろ「オロナミンCを甘さ控えめにしたような」印象。はっきりと「うまい!」と飛び込んでくるタイプではなく、食事とともに寄り添いながらじわじわと魅力を見せるワインです。
実際、後半になるにつれて尻上がりに美味しさの感度が高まっていくのは確か。ただし、苦味や辛味を伴う白ワインにある程度の“免疫”がないと楽しみきれないかもしれません。正直、2千円ワインの倍の価格と考えると「ん?」と感じる部分は否めません。
生産者:アルザスの巨匠 マルク・テンペ
このワインを手掛けるのは「アルザスの巨匠」と称されるビオディナミスト、マルク・テンペ。1993年にツェレンベルグで自らのドメーヌを設立し、当初から有機農法に取り組み、1996年にはビオディナミへ完全移行。エコセールの認証を取得し、今や世界的に知られる存在となっています。
当主マルク氏は、醸造専門学校卒業後に大手メーカーで経験を積み、さらにI.N.A.O.(国立原産地名称研究所)ではアルザスのグラン・クリュ制定に携わった人物。つまり「アルザスを制度面からも実務面からも知り尽くした造り手」なのです。
その哲学はシンプルで、「ブドウの木がどのような環境で育つのかを深く理解すること」。手摘みによる収穫、5〜6時間かけた緩やかな圧搾、自然発酵、大樽での長期シュール・リー熟成。澱引きも濾過も行わず、土地とブドウが持つ力をそのままボトルに託します。
ビオディナミは目的ではなく手段。テロワールを余計な装飾なく“率直に表現する”ためのアプローチにほかなりません。
まとめ
価格の高さがそのまま即物的な「美味しさの保証」にはならない——今回の飲み比べが教えてくれたのはその事実でした。
しかし、マルク・テンペという生産者の哲学や技術を知ると、単に“4千円の味”ではなく、“テロワールを余計な加工なしに体現した4千円”という別の次元が見えてきます。
「高い=旨い」ではなく、「造り手の思想や背景を含めて味わう」。ワインの面白さを改めて考えさせられる一本でした。