アンジュ ルージュ ラルドワーズ
ANJOU ROUGE
参考小売価格:2799円
産地:ロワール、アンジュー
品種: カベルネ・フラン
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノ・ヴィーノ
ロワール渓谷中部に位置するアンジュー(Anjou)は、カベルネ・フランの産地としてはやや控えめな印象を受けるかもしれません。シノンやブルグイユと比べると範囲が広く、いわば“広域アペラシオン”的な立ち位置。それゆえに、なんとなく「格落ち」的なイメージを抱きがちですが、果たしてその印象は正しいのでしょうか?
今回のアンジューは、シノンやブルグイユと同価格帯のワイン。飲み比べるにあたっては、むしろ格差のなさが前提です。実際にグラスを傾けてみると、そこには驚くほど魅力的な個性が広がっていました。
歴史ある家族経営ドメーヌの造り手
今回の造り手「ドメーヌ・デ・ロシェル」は、19世紀から続く歴史あるワイナリー。現在は4代目のジャン=イヴ・ルブルトン氏とその家族が運営しており、伝統と家族の絆を感じさせるクラシカルなワインを手がけています。
この“家族経営らしさ”のような温もりが、味わいにもほんのり滲んでいるように感じました。
テイスティング:ピチピチ果実と控えめな青さ
まず香りは、ブルグイユ同様に乳酸系のやわらかなニュアンスが印象的。そこにピチピチと弾けるようなブラックチェリーや赤いベリー系の香りが重なり、香りからして若々しく、明るい雰囲気があります。
味わいは、3本の中で最も“甘み”を感じます。ただし、基本はドライ。酸が主軸となり、そこに軽やかな果実とドライハーブがふわりと広がります。ピーマンのような典型的なカベルネ・フランの青さは見られず、むしろ「ボルドー右岸を酸とミディアムボディにチューニングした」ような印象。
木樽のニュアンスはほとんどなく、果実と酸で勝負している潔さがあります。
他の2本との違いを感じるポイント
熟成したシノンは重厚で硬質、ブルグイユは柔らかく落ち着いた果実味、そしてアンジューはフレッシュさと明るさが光ります。カベルネ・フラン=ピーマンという単純な覚え方ではくくれない、それぞれの“違い”がこの3本の比較で明確になりました。
総評
アンジューは、カベルネ・フランに対する先入観をほぐしてくれるような、親しみやすさと軽やかさを持った一本。特に、酸が好きな方やナチュラル志向のワインに慣れている方には、すっと身体に馴染むはず。
カベルネ・フランを学ぶなら、アンジューを侮るなかれ──そんなメッセージを伝えてくれるワインでした。
本日の組み合わせ
庶民のお酒ランク(詳細)
今回のワインは:Cランク (24年3月より基準改定)
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