グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ

参考小売価格:2200円

産地:余市

品種: ツヴァイゲルト

購入元:アマゾン

製造元:サッポロビール

ボロネーゼを作るたびに、合わせる日本ワインの正解はどこかにないかと考えています。今回手を伸ばしたのが、余市産ツヴァイゲルトレーベの赤でした。

余市をはじめ北海道は、ドイツ系品種が多い産地です。冷涼な気候同士、スタイルの相性が良いのでしょう。ツヴァイゲルトレーベ自体も、もともと冷涼産地で力を発揮するタイプ。ボロネーゼのようなトマトベースの肉料理と合わせるには、酸がしっかりあってアルコール感が前に出すぎない赤が欲しかったので、その条件にぴったりだと判断しました。

このワイン、Decanter World Wine Awardsでプラチナを受賞しているそうです。世の中には、よく分からないコンクールの金賞シールをこれでもかと貼ったボトルが無数にありますが、Decanter World Wine Awardsは世界的にも評価されているコンペティション。その場でプラチナを取っているのであれば、少なくとも中身に対する期待値は一段階上げてよさそうです。

そんな前提を頭に置きながらグラスに注ぐと、まず色調は透過性のある赤。深みのあるガーネット寄りで、重さよりも品の良さを感じるトーンです。グラスに鼻を近づけると、香りのボリュームは控えめですが、すみれを思わせるフローラルなニュアンスに、ラズベリーなど赤系果実。奥にシナモンや白こしょうのような香りが細く立ち上がります。

口に含むと、最初のアタックは驚くほどやさしい印象です。するっと入ってくるのに、口中で一気に酸が輪郭を描き、その後ろからきめ細かいタンニンがじわっと収斂していく構成。軽さと薄さは別物だとよく言いますが、このワインはまさに「軽やかだけれど情報量がある」タイプで、酸とタンニンのバランスがきちんと整っている赤ワインです。

酸味の効いた赤が好きな人にはかなり刺さるキャラクターだと思います。ドイツで同じクオリティの赤ワインを探そうとすると、体感的には平気で3千円クラスに届くはずです。このツヴァイゲルトレーベについては、私はブラックフライデーセールの20パーセントオフで約1700円で手に入れたので、内心かなりドヤ顔するつもりでした。ただ、現時点でも同じように20パーセントオフで販売されているようなので、酸のきれいな赤ワインを探している人は、普通に狙い目の価格帯だと思います。

ボロネーゼとの相性もきれいに決まります。トマトソースの酸とワインの酸がぶつからずに重なり、赤い果実のニュアンスがソースの甘みと一体化していく感じ。挽き肉の脂をタンニンがほどよく引き締めてくれるので、ひと口ごとにまたワインを飲みたくなります。

トマトとひき肉の香りが立ちのぼる休日の食卓に、余市のツヴァイゲルトレーベを1本置いておくと、ボロネーゼの時間がすこしだけ豊かになるはずです。

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井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com