テロワール・セレクション 祝
参考価格:2980円
購入:ローカルスーパー
品種:甲州
製造:勝沼酒造

今回は、日本ワインの名門・勝沼醸造の甲州ワインを飲んでいきたい。

きっかけは、近所のローカルスーパー。たまたま3割引きで並んでいるのを見つけ、完全にノンルックで購入した。ところが裏ラベルをよく見ると、「ワインリンク」のマークが入っている。界隈ではおなじみの、モトックス流通管理の印で、これを見つけた瞬間に「この売り方、知られたら怒られそうだな」と少し苦笑いしてしまった。どうやら取り扱いには規約があり、基本的には値引き販売NGのワインらしい。定価はおおよそ3,000円前後。そう考えると、なかなか大胆な棚の作り方である。

勝沼醸造は1937年創業。以来一貫して甲州種にフォーカスし、勝沼という産地そのものの価値向上に尽力してきた老舗ワイナリーだ。1990年代以降は、勝沼のテロワールの可能性をより明確に引き出すため、ヨーロッパ系品種を想定した垣根栽培にも着手。手間と時間を惜しまない高品質志向のワイン造りへと舵を切り、2003年にはフランスで開催される国際的ワインコンクール「ヴィナリー・インターナショナル」にて銀賞を受賞。以降、国内外で評価を高めてきた実力派ワイナリーである。現在もなお、勝沼のテロワールを追求する造り手として、日本のみならず海外からも注目を集めている。

グラスに注いだ外観は、やや黄緑がかった色調。甲州としては熟度、あるいは年生をある程度感じさせるニュアンスがある。今回は冷蔵庫から出したて、やや低めの温度帯だが、それでも香りの立ちは悪くない。ただ、第一印象は少し掴みにくい。ビタミンCのような人工的なニュアンス、あるいはCCレモンを思わせる柑橘系の酸、加えて柑橘の種のようなビターな要素が混在している。

味わいも同様に、単純ではない。輪郭のはっきりした酸が前に出て、余韻にかけて苦味が残る構成。この酸と苦味のバランスは、個人的にはかなり好みだ。単体で楽しむというより、明確に“食中酒”としての完成度が高いタイプ。香りと味わいの方向性を考えると、和食、特に油分を含んだ料理との相性が想像しやすい。

もっとも、最近はセラーで寝かせていた甲州を立て続けに飲んでいたこともあり、それらと比べるとわずかにスケール感が控えめに感じられる部分もある。価格帯を考えれば、もう一段、二段ほど抜けてくれてもよいという期待が出てくるのも正直なところだ。

ただし、このクラスの日本ワインは温度が上がるにつれて表情を変えるケースが多い。時間経過による変化も含め、ポテンシャルはまだ十分に残している印象。今日はこのまま、温度の上昇を待ちながら、天ぷらと合わせてゆっくりと向き合っていきたい。

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井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com