グランポレール 岡山 マスカットベーリーA 樽熟成

参考小売価格:2500円ぐらい

産地:岡山

品種: マスカットベーリーA

購入元:アマゾン

製造元:サッポロビール

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今日はクリスマスなので、夕食は奮発してすき焼きにしました。こうなると次に考えるのは、鍋の甘辛さと牛脂のコクを受け止めてくれるワインです。ストックを眺めながら選んだのが、岡山のマスカットベーリーAの樽熟成でした。ワイン名に樽熟成と書いてくれているのが地味にありがたくて、マスカットベーリーAは樽を使う例も多い印象がある一方で、わざわざ明記しているということは、実際には樽を使わないタイプもかなり流通しているのかもしれません。その事情はさておき、飲む前に味わいの方向性を想像しやすいというだけで、ボトルを開けるときの迷いが減ります。

とはいえ、岡山のワインは今回が初体験です。未知の産地に手を伸ばすときの楽しさは、半分は期待で、もう半分は緊張だと思っています。変にハードルを上げすぎず、でも何か新しい表情が見えたらうれしい、という温度感で飲みました。

色調は薄い赤で、外観だけ見ると低価格帯のニューワールドのピノノワールを思わせる雰囲気があります。ただ香りはきちんとマスカットベーリーAで、いわゆるキャンディー香はありますが、重たく甘ったるい方向ではなく、すっきりしていて心地よい出方でした。さらに湿った草のようなニュアンスが少し混ざって、単調な甘さだけで終わらないところに好感が持てます。味わいも上品で、濃いワインに慣れている人だと水っぽいと感じる可能性はありますが、私のように薄い赤が好みの人にとっては、むしろマスカットベーリーAの良さが素直に出てくるバランスだと思いました。口の中で転がすと甘みと酸味が共存していて、複雑性もまずまずで、軽さの中に退屈しない要素が残ります。ここは温度の影響も大きそうで、しっかり冷やし気味にすると甘さが前に出すぎず、甘い香りが苦手な人にも受け入れられやすくなるはずです。

すき焼きとの相性はもちろん良くて、甘辛い割下の方向性にワインの甘酸っぱさが自然に重なり、牛の旨みを邪魔しませんでした。食中酒として考えると、このワインは和食の守備範囲が広い気がします。赤身の寿司のように醤油の塩気と魚の旨みがあるものや、いなりの甘さと酢飯の酸があるものにも、同じ理屈で寄り添ってくれそうです。

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井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com