ル トゥルポー マルベック
LE TROUPEAU MALBEC
参考小売価格:1500円ぐらい
産地:ラングドック
品種: マルベック
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノヴィーノ
前回のコノスル編に続き、今回もマルベック。
ただし舞台は変わってフランス・ラングドック地方。
マルベックといえば、現代では“アルゼンチンの顔”的な存在ですが、もともとの故郷はフランスです。
カオールなどの伝統的AOCがその名残を今に伝えています。
ただ、今回の一本はテーブルワイン格付け。
つまり「AOCの厳格なルールには縛られず、自由な発想で造られたワイン」ということです。
これをどう捉えるかは人それぞれですが、私はこう考えます:
土地や品種の“お作法”に縛られない分、むしろ純粋に「美味しさ」にフォーカスできるんじゃないか。
もちろん、価格帯が1000円前後となれば、“安く売るためのワイン”という側面も否めません。
そうなると、マルベックらしい力強さや個性よりも、「とにかく飲みやすく」「クセをなくす」方向にチューニングされがちです。
実際、今回のワインにも金色のメダルシールが。
この手のシールが貼られていると、「ああ、大衆向けに調整されたタイプだな」と身構えてしまうのがワイン愛好家の性(さが)です。
テイスティングメモ:懐かしくも安心感のある一本
まず外観。
黒ワインと呼ばれることもあるマルベックですが、この一本はやや明るめの赤紫色。
抜栓した瞬間に香るのはプルーンやブルーベリーのような熟した果実の香り。
ちょっとピチピチとしたジューシーな印象が前面に出ています。
味わいは──予想どおりというべきか、丸く、飲みやすい。
酸っぱくもなく、渋すぎることもない。
まさに“中庸な美味しさ”を狙った、万人向けの設計です。
例えるなら、ブルーベリーガムのようなじわっと広がる甘さ。
懐かしさすら感じる味わいに、どこかほっとしてしまいます。
「ファミレスでこのワインが出てきたら、確実に人気No.1になるだろうな」と思わせる、分かりやすい美味しさです。
生産者情報:ル・トゥルポーとは?
今回のワインは「LE TROUPEAU MALBEC(ル・トゥルポー・マルベック)」。
「ル・トゥルポー」はフランス語で「群れ」を意味します。
この名前には、酪農家が家畜の群れを丁寧に世話するように、ワイン生産者がブドウ畑を慈しみ、育てるという思いが込められています。
南フランスの中でも厳選された畑から選ばれたブドウを使い、
手間を惜しまず造られたこのワインは、
濃厚な香りと複雑さを併せ持つ、しっかりとしたフルボディの赤として設計されています。
実際には、そこまでパワフル!という感じではないものの、
“飲み疲れしない自然な濃さ”がむしろ今の時代にはちょうどよく、
普段飲みにちょっとした満足感を与えてくれる一本でした。