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・テイスティング日記

半額ワゴンで見つけた日本ワイン──なぜ、私はこの泡を狙っていたのか

日本のあわ 甲州&シャルドネ / シャトー・メルシャン

Japanese Sparkling Wine “”AWA”” Koshu & Chardonnay

参考小売価格:2618円

産地:日本

品種: 甲州・シャルドネ

購入元:地元のローカルスーパー

製造:シャトー・メルシャン

地元スーパーの“ワインパトロール”は、もはや習慣の域に入っている。

この日も半額ワゴンをチェックしていると、ふと目に留まったのは一本の日本ワイン。

しかも、シャトー・メルシャンの名前が。

……実はこれ、狙っていた。

発売当初、「へぇ、日本の新酒スパークリング、こんなの出たんだ」と手に取った記憶がある。

ただそのとき、価格を見て驚いた。3,000円近い。

となると、選択肢は一気に広がる。クレマン・ダルザスやロワールあたりなら、2,000円台で至福の泡に出会える世界。

そこをあえて、何県のブドウかすら定かでない日本ワインの泡──。飲む理由を探すのが難しいのが正直なところだった。

とはいえ、このワインを手がけたのは、日本ワインのパイオニアともいえるシャトー・メルシャン

「日本を世界の銘醸地に」というビジョンを掲げ、147年にわたって新しい栽培法や醸造技術に挑み続け、日本ワイン全体を底上げしてきた存在である。

なかでも製造拠点の一つである勝沼ワイナリーは、山梨県の伝統的なワイン造りの中心地。

そこからリリースされたこの泡を、無視するわけにはいかない。

案の定、予想通り。定価では動かなかったこの一本が、しっかりと半額ワゴンに並んでいた。

こんな日本の新酒を喜んで買う人は、日本ワインに強いこだわりを持っているか、珍しさで試したい人、あるいは3,000円クラスを日常使いする余裕のある人だろう。

私はというと、どれにも当てはまらないが、「半額」の魔力には抗えなかった。

味わいはというと、良くも悪くも千円クラスのプロセッコと遜色ない。

青リンゴやレモン、グレープフルーツといった爽やかな果実感に、きめ細やかさは控えめながらも、親しみやすい泡立ち。

“フレッシュ&フルーティー”というコピーに偽りはない。

ちなみにこの一本、山梨県産の甲州福島県産のシャルドネをアサンブラージュしたもの。

厚みと飲みごたえをもたらす甲州に、華やかさを添えるシャルドネ。

その組み合わせが、どこか日本らしい繊細さと真面目さを感じさせてくれる。

余韻には苦味が残るが、それがかえって料理の幅を広げる。

軽めの和食や前菜、冷製料理など、肩肘張らない日常の食卓によく馴染む印象だ。

なにより、半額という事実がこのワインを“特別な一本”に変えてくれたのは間違いない。

ワインとは、単なる味覚の満足ではなく、「どこで」「どう出会ったか」という記憶の積み重ねでもある。

味だけで言えば「まぁまぁ」の範疇だとしても、今日このワインを手にした体験は、間違いなく“美味しい記憶”として残るだろう。


本日の組み合わせ

食後の追い込みワイン

庶民のお酒ランク(詳細

今回のワインは:Cランク (24年3月より基準改定

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com