シャトー グランドフォン マルベック
CHATEAU GRANDEFONT MALBEC
参考小売価格:2000円ぐらい
産地:ボルドー
品種: マルベック
購入元:リカオー店頭
インポーター:ルミノヴィーノ
前回に引き続き、マルベックの飲み比べ。
全7種類のうち、今回はフランスのロワール地方、そしてボルドー地方のマルベックを取り上げます。
今回はその中でも、ちょっと珍しい「ボルドー産マルベック」。
マルベックといえば南西部カオールが有名ですが、地理的にはボルドーもそう遠くはなく、温暖で日照に恵まれた右岸や内陸部では、かつて盛んに栽培されていました。実際、18世紀にはボルドーのブレンドに欠かせない存在だったのですが、1956年の寒波で壊滅的な被害を受け、その後はカベルネやメルロに主役の座を譲っています。それでも一部の生産者は今も栽培を続け、力強さと独特の風味を持つ“ボルドー流マルベック”を造り続けています。
グラスに注ぐと、外観はしっかりとした赤紫。粘性も高く、アルコール度数13%という数字にも納得の色調と質感。香りはプラムやコンポートしたさくらんぼに、コーヒー、チョコレート、そしてほのかなバニラが重なります。
口に含むと、最初はタンニンが力強く主張し、「これは骨太なタイプだ」と感じさせますが、時間が経つにつれ角が取れ、丸みのある口当たりへと変化。ついスルスルと飲み進めてしまいます。
確か1,500円ほどで購入したのですが、一般的な千円ボルドーと比べても、こちらの方が私好み。一口ごとに表情を変えるグラデーションが楽しく、エレガントとまではいかないまでも余韻は長め。ほのかな甘味が全体をまとめており、食事がなくてもワイン単体で楽しめる一本です。
こうして飲み比べてみると、ロワール産の軽やかさと、ボルドー産の骨太な存在感。同じマルベックでも、土地と造り手が変わればこれだけ表情が違う──改めて、この品種の懐の深さを感じます。