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ドイツ

ソーヴィニャー・グリという未知の白ブドウ

アウフタクト ソーヴィニャー グリ トロッケン

Auftakt Souvignier Gris

参考小売価格:3200円

産地:ラインヘッセン

品種: ソーヴィニャー グリ

購入元:ヘレンベルガー・ホーフ

インポーター:ヘレンベルガー・ホーフ

「ソーヴィニャー・グリ」――聞き覚えのない名前ではないでしょうか。

正直、私も最初は「ソーヴィニヨン・ブラン? ピノ・グリ?」と首をかしげ、ラベルを凝視したほどです。印刷ミスかと思ったくらい、馴染みのないブドウ品種でした。

それもそのはず、この品種はPIWI(ピーヴィ)品種と呼ばれる「カビ耐性品種」のひとつ。ヨーロッパ系ブドウにアメリカやアジアの品種を掛け合わせ、うどんこ病やベト病といったカビ系の病害に強く改良された新しい系統です。目的は明確で、環境保護です。これにより、ブドウ栽培に欠かせない農薬使用量を最大で8割も削減できるといわれています。つまり、土壌への負担を軽減し、畑をより自然な状態に保てるということです。

この「ソーヴィニャー・グリ」もPIWI品種のひとつで、カベルネ・ソーヴィニヨンブロナーという品種の交配によって誕生した白ブドウです。ブロナーも耳慣れない品種ですが、ワインに慣れてくると、こうした未知の名前との出会いにこそ心が躍ります。


味わいと香りの印象

グラスに注ぐと、色調は淡い黄緑。どこか緑茶のようなニュアンスを感じます。

香りはソーヴィニヨン・ブランに似た印象で、グレープフルーツやパッションフルーツ、さらに白い花や白胡椒のようなスパイシーな要素も感じられます。

口に含むと、まずシャープな酸味が立ち上がり、やがて果実のほのかな甘みへと移ろい、最後にはほろ苦さが余韻を締めくくります。この酸・甘・苦のグラデーションが見事で、ワイン単体でも十分楽しめる複雑さがあります。

ペアリングを考えるなら、旨味のある料理やハーブを使った前菜、あるいは白身魚のソテーなどとも好相性。幅広い料理に寄り添う柔軟性を持っています。


テイスティングのまとめ

印象としては、ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデを思わせます。

ただし、ヴィーニョ・ヴェルデよりも酸が引き締まり、味わいの層が厚く、さらにほのかな苦みが輪郭を与えるイメージです。

価格は3,000円台と少し高めですが、飲み手に新しい発見をもたらしてくれる一本。

名前も味も未知のブドウ「ソーヴィニャー・グリ」は、PIWI品種という新時代のワインづくりの方向性を体感できる好例です。

庶民のお酒ランク(詳細

今回のワインは:Bランク (24年3月より基準改定

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com