エーレンバッハ ライヒホルツハイマー シュヴァルツリースリング 2022
Ehrlenbach Reicholzheimer Schwarzriesling Trocken
参考小売価格:7400円
産地:バーデン
品種: シュヴァルツリースリング(ムニエ)
購入元:ヘレンベルガーホーフ
インポーター:ヘレンベルガーホーフ
この品種名を聞くと、多くの人はシャンパーニュのブレンド用ぶどうとしての“脇役”を思い浮かべるだろう。しかし、今回のボトルはその固定観念を軽やかに裏切る。ムニエ単一で仕立てられたスティルワイン。しかも、価格はピノ・ノワールに匹敵する7,000円台。購入してから二ヶ月、なかなか栓を抜く決心がつかなかった。日常にしては贅沢すぎ、特別な日にしては知的負荷が高い。いわば、“心の調律”が整う瞬間を待っていたワインだ。
今日、少し気持ちが沈み、作業も進まない午後。その停滞を切り替えるために、マインドセット用として静かにコルクを抜いた。
グラスに注いだ瞬間、淡く紫を帯びた光沢が立ち上がる。香りは繊細でありながら、奥に潜む深度がはっきりと主張してくる。高価なボトルが放つ独特の気品が、空気を変える。
口に含むと、まず酸が舌を引き締める。構造的に尖った印象を受けるが、それがむしろこのワインの矜持を感じさせる。ワインを飲み始めた頃なら、きっとこの酸を「難しい」と感じただろう。しかし今は違う。この突起が、時間とともに、そして食事とともに、しなやかに溶けていくことを知っている。
酸味ワインは、合わせる料理によって姿を変える。今夜の食卓で、ゆっくりと呼吸しながらその変化を味わうつもりだ。
飲み終えたとき、きっと「美味しかった」ではなく「報われた」と感じるに違いない。
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