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ドイツ

シュバルツリースリング――ピノ・ムニエの静かな野心。

エーレンバッハ ライヒホルツハイマー シュヴァルツリースリング 2022

Ehrlenbach Reicholzheimer Schwarzriesling Trocken

参考小売価格:7400円

産地:バーデン

品種: シュヴァルツリースリング(ムニエ)

購入元:ヘレンベルガーホーフ

インポーター:ヘレンベルガーホーフ

https://youtube.com/shorts/jGZS3DtiQtA

この品種名を聞くと、多くの人はシャンパーニュのブレンド用ぶどうとしての“脇役”を思い浮かべるだろう。しかし、今回のボトルはその固定観念を軽やかに裏切る。ムニエ単一で仕立てられたスティルワイン。しかも、価格はピノ・ノワールに匹敵する7,000円台。購入してから二ヶ月、なかなか栓を抜く決心がつかなかった。日常にしては贅沢すぎ、特別な日にしては知的負荷が高い。いわば、“心の調律”が整う瞬間を待っていたワインだ。

今日、少し気持ちが沈み、作業も進まない午後。その停滞を切り替えるために、マインドセット用として静かにコルクを抜いた。

グラスに注いだ瞬間、淡く紫を帯びた光沢が立ち上がる。香りは繊細でありながら、奥に潜む深度がはっきりと主張してくる。高価なボトルが放つ独特の気品が、空気を変える。

口に含むと、まず酸が舌を引き締める。構造的に尖った印象を受けるが、それがむしろこのワインの矜持を感じさせる。ワインを飲み始めた頃なら、きっとこの酸を「難しい」と感じただろう。しかし今は違う。この突起が、時間とともに、そして食事とともに、しなやかに溶けていくことを知っている。

酸味ワインは、合わせる料理によって姿を変える。今夜の食卓で、ゆっくりと呼吸しながらその変化を味わうつもりだ。

飲み終えたとき、きっと「美味しかった」ではなく「報われた」と感じるに違いない。

ABOUT ME
井原大賀
1984年 高知生まれ ワイン系YouTuber。日本初のPodcastワイン番組をプロデュース。令和以降アマゾンで日本一読まれているワイン電子書籍の著者。年間40万ml以上ワインを飲む本物のワインガチ勢が語る再現性の高いワインライフ。お仕事のお依頼、コラボ、PR案件お待ちしております! info@grapejapan.com