その昔、ボルドーワインやブルゴーニュワインの有名な土地柄の偽物ワインが出回ったことがきっかけに、販売低迷と価格の下落を招いてしまいました。
偽物を撃退する目的と、神聖な産地で生産されるワインを保護する目的で定められたのがAOC法です。
AOCを名乗るワインを作るためには、政府が定めた事細かなルールに従う必要があり、それがAOCワインのブランド力向上と信頼につながっています。
AOCは、「Appellation d’origen Controlee」(アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)を省略した名称で、日本語では、「原産地統制呼称」と呼ばれています。
ワイン選びの時、ボトルに
APPELLATION BORDEAUX CONTROLEE と記載があれば、このワインは、間違いなくボルドーで生まれたワインということになります。
しかし、ワイン初心者にとって、これが、ワインを難しくさせるポイントでもあります。
例えば、これを日本語に置き換えてみると、「アペラシオン 関東地方 コントローレ」になりますが、「関東地方」という枠組みより、「茨城」や「群馬」の方がより範囲を狭まれており、「川越」や「小田原」もっと突き詰めれば「港区」や「新宿区」と町名まで絞ると、必然的にレア度が高まりますよね。
つまり、何が言いたいかというと、フランスの田舎まちの地区名や村名、もっと突き詰めて「畑」の名前なんて、ワインを勉強しない限り知るすべがないということです。
フランスワインは難しいと言われる所以はここにあり、フランスには覚えるに覚えきれないほどのAOC認定地域、地区、村があり、シャトー(製造元)や畑ごとの格付けもそれに付帯してくるのだから、大変です。いきなり、サンジュリアンのレオヴィル・ポワフェレと言われて、その価値を理解しろというのは無理があります。
つまり、ワイン初心者が酒屋さんのボルドーコーナーを見て、
「なんでこのワイン、ラベルにボルドーって書いてないのにクソ高いの??本当にボルドーなの??」
ってなってしまうのです。
今回このAOC法を知ることによって、 APPELLATION 「なんとか」 CONTROLEEの「なんとか」部分がわからない名前(大きな地域じゃない名前)なほど希少価値があることが認知できます。
今のご時世、スマホで検索すれば、小難しいことを覚えなくても一発でワインの価値がわかってしまうので、効果的です。
小さい範囲内でのAOC地域のワインは、高価になってしまうので、庶民が買うには気後れしてしまいがちです。しかし、ワイン好き庶民としては、どうせフランスワインを飲むなら、大きく「BORDEAUX」って記載している安価なワインより、特別な日に気合を入れて「サン・テミリオン」って書いてるワインの方を選らんだ方が、ワインをより一層楽しめるので、強く進めたいです。
安いフランスワインにハズレが多いと揶揄されるのも、このような理由があり、庶民のワイン研究所としても、それは否定しません。庶民が、安ウマワインと効率的に出会うには、安価なフランスの大きな地区表示AOCは避けるべきワインとも言えるでしょう。